サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居形態について
グッドライフシニア編集部で「サ高住入居時の状態」について、667名の方にアンケートを行いました。
この結果によると、サ高住への入居率は、女性1人での入居が59.5%、男性1人での入居が19.4%で、単身での入居が約80%でした。さらに男性より女性の単身での入居が多いというデータがでました。
また、残りの約20%は夫婦での入居や、親子・兄弟や姉妹など2人での入居です。
60歳以上の単身者が、サ高住へ入居する理由とは?
なぜ、ずっと持ち家(自宅)に住んでいた人が60歳以上になると、単身でサ高住(賃貸)に入居するようになるのでしょうか。
まずは、“持ち家率”について調べてみました。
世帯主(家族と住む60歳以上の人)だと、持ち家率は82.7%。
しかし、60歳以上の単身者となると、持ち家率は65.6%まで下がり、減少傾向になっています。
つまり、残りの60歳以上の単身者は賃貸などに住んでいることになります。
持ち家からサ高住に移り住む理由とは?
どうして、単身者は持ち家を手放してサ高住などの賃貸に移り住むのでしょうか。
『九州保健福祉大学研究紀要16』による「サービス付き高齢者向け住宅居住者の住まい方に関する事例考察」より、単身で持ち家がある人が、サ高住に移住した理由“4つ”をピックアップしました。
1:緊急時の対応に不安を感じたため
2:老後への不安
3:転倒・転落(例:階段から落ちた)し、入院。退院後の緊急時の対応に対する不安
4:体調不良により入院。退院後に、一人で生活することに対する不安。
持ち家がある60歳以上の人だと、生活を支えてくれる・助けてくれる家族がいます。
しかし、単身者の場合だと、どうしても体力低下・老後への不安という面で「一人で家で暮らしていく」ことが困難だと感じ、サ高住への移住を考えるのでしょう。
サ高住へ移住する際は、家族(離れて暮らす子どもや親戚など)が探してくれたり、本人自身で探す場合もあるようです。
増え続ける単身世帯
単身世帯は着実に増え続けています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、全世帯に占める単身世帯の割合は2010年に3割を超え、2040年には約4割になると言われています。
家族がいれば持ち家に住み続けることができる可能性も高くなりますが、今後単身者が増えてゆくのであれば、60歳を超えても賃貸に住み続けるケースは多くなるでしょう。
そうなっていくと、安否確認や生活相談サービスが必ず付いているサ高住の需要が高まることが予想されます。
サ高住に住むメリットとは?
サ高住は、賃貸として借りるため金銭面での負担が少ないところがメリットです。老人ホームのように入居金などの大きな費用がかかることはありません。セキュリティも万全なので、安心感がありますよね。
外出も自由、お買い物も自由。居室のプライバシーは守られ、キッチンで自炊もできます。
食堂も併設されていているため、栄養バランスが考慮されたお食事を楽しみつつ、入居している方々とコミュニケーションをとることもできます。
これまでの自宅での暮らしを、安心・安全のサービスが整った環境で継続できるのがサ高住なのです。
家族に心配をかけたくない・一人暮らしが不安という高齢者にとって「快適な住まい」であるサ高住のニーズは、今後一段と高まることでしょう。
~分析の概要について~
(株)イチイでは、「高齢者のサ高住に対する入居時の意識に関しての調査」を行いました。これはマーケットの分析調査でもあります。調査に関するデータは、当社が仲介するサ高住23施設に入居している“667名”にご回答いただき、データ集計を行いました。(現在も仲介させていただく入居者様へのアンケートは継続しておりますので、今後データ分析に変化は見られるかもしれませんが、2017年8月末までにおける調査結果となります。)
(グッドライフシニア 編集部 小窓まどか)
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