腰痛があってマッサージも通うけど良くならない、整形外科では湿布と痛み止めが出るだけで何も変わらない、と悩んでいませんか?実は慢性の腰痛は、日常生活の送り方で悪化することも改善することもあるのです。
当記事では慢性腰痛の原因、改善策、運動についてお伝えします。しつこい腰痛を改善する具体策やヒントがきっと見つかると思います。
≫1.腰痛の原因
≫2.腰痛改善にはなぜ日常生活の見直しが必要なの?
≫腰痛改善策1:生活様式を変えて腰痛を改善
≫腰痛改善策2:運動で血流改善して腰痛の悪化予防
≫腰痛改善策3:ストレスを溜めない
1.腰痛の原因
腰痛は腰周囲の痛みや張り、不快感の総称のことで、足のしびれを伴う痛みも腰痛に含まれています。
内臓からくるもの
内臓からくる腰痛には腹部大動脈瘤など血管の病気、胃・膵臓・胆のうなど消化器系の病気、尿管結石・腎結石など腎・泌尿器系の病気があります。
整形外科領域の腰痛
骨や軟骨の変形などからくる腰痛は整形外科領域の腰痛。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、脊椎圧迫骨折などがあります。
受診の目安
腰痛全般については一度診察をうけましょう。しかし、急激に強い痛みが起こる、痛みとともに顔色の悪さや吐き気がある、足の麻痺がある場合は直ちに受診が必要です。
2.腰痛改善にはなぜ日常生活の見直しが必要なの?
日常生活の見直しが有効なのは、整形外科領域の慢性腰痛があるケース。ヘルニア、脊椎すべり症、仙腸関節障害など何かしらの病名がつきます。
これらの病気は、日常生活の様式が病状を悪化させるケースも多いのです。
長時間座りっぱなしの姿勢で腰椎のヘルニアが飛び出しやすくなり、ひねる動作はすべり症を悪化させるリスクがあります。
負荷をかける生活習慣こそが腰痛を悪化させているため、生活の見直しが症状改善に近づくこともあります。
腰痛改善策1
生活様式を変えて腰痛を改善しよう!
和式よりも洋式の生活を
腰痛の患者さんに多いのが食事、テレビを見てくつろぐ時間に床に腰を下ろして座って生活する方です。
床に座る姿勢は脊椎を不自然に曲げ、ヘルニアが飛び出しやすくなるのです。和式の生活であれば椅子に座る生活に変えましょう。
座りっぱなしは避ける
長時間の座りっぱなしは、腰周囲の血流が悪くなる原因。座るだけでも疲れ、血流悪化により疲労物質や痛みを起こす発痛物質が腰にとどまり、腰痛悪化の原因になるのです。
座る姿勢は背筋を伸ばす姿勢で。15分に一度立ち上がる、椅子の場合、背中にクッションを入れて座ると腰痛が軽減できます。
寝姿勢はどうすればいい?
人の脊柱は生理的湾曲があり、S字型にカーブしています。このカーブを妨げないのが楽な寝姿勢です。
寝具は硬めのマットレスがおすすめ。畳の上に薄い布団を敷くと固すぎて腰に負担がかかりますし、柔らかすぎるマットレスも腰が沈み、腰痛の原因に。
理想の寝姿勢は横向きで腰をエビのように軽くカーブさせた状態。膝を軽く曲げると楽でしょう。
腰痛の強い方は仰向けに寝ると生理的湾曲を妨げ、痛みが出るため避けます。
寝起きに腰が痛い人は、仰向けで寝ていることが多いものです。どうしても仰向けになりたい場合は、軽く膝を立てるか、膝の下に枕を置いて足を挙げると腰への負担は軽減します。
腰痛改善策2
運動で血流改善して腰痛の悪化予防
ウォーキング
ぎっくり腰(急性腰痛症)の急性期に運動は厳禁。組織に強い炎症が起こっているときは安静が必要だからです。
慢性腰痛があり、医師に運動の許可が出たら、少しずつ運動をしましょう。
慢性疼痛の方は、ウォーキングをすることで腸腰筋という脊椎から骨盤内につながっている筋肉の筋力維持ができます。
また、歩く時には背筋を伸ばすと背筋や腹筋も付きやすくなります。
腰痛の原因の一つが腰を支える筋力の低下ということも多いため、ウォーキングで腰回りに適度に刺激を当てえることは、腰痛に効果的なのです。
ストレッチ
ぎっくり腰(急性腰痛症)の急腰痛がある患者さんをみていると、体が硬い方が非常に多いのです。
腰周囲の筋肉を柔らかく保つことも腰痛改善の対策に。座ったままできる体操を紹介します。
わき腹伸ばし
1.椅子に背筋を伸ばして座ります。
2.両足をつけたまま、片方の手を上にあげ、体ごと反対の方へ伸ばします。
膝伸ばし
1.椅子に浅く腰掛けます。
2.片方の足を前方にまっすぐ伸ばします。
3.上半身を前に傾けます。太ももの裏側を伸ばす気持ちで。
腹部ストレッチ
1.椅子に浅く腰掛け、胸を張ります。
2.おへそを覗き込むようにお辞儀をします。背骨全体が丸くなっているのを感じて。
やめたほうが良いスポーツ・趣味
腰を急にひねる動作は腰痛悪化の原因に。ゴルフ、卓球、場合によってはサッカーなど腰をひねる動作が避けられません。
ほかに、バレーボールなどしゃがむ動作があるスポーツも避けたほうが良いでしょう。
同じ理由で、腰痛がある方に畑仕事やガーデニングもお勧めしません。中には痛み止めの注射をしながら畑を維持している人もいますが、腰痛の悪化の兆候が見られたら畑や庭は縮小していくほうがいいと考えます。
腰痛改善策3
ストレスを溜めないことが大切。
自律神経の緊張が腰の筋肉を硬くする
人の運動や動作は自律神経に支配されています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、前者は体の緊張を高めて血流を少なくし、後者はリラックスさせて血流を豊かにします。
ストレスが多い現代社会では交感神経と副交感神経の切り替えができず、仕事が終わった後も体が興奮状態、緊張状態が続いている方も。
交感神経が優位になると筋肉は緊張したままでコリが強く、血流が悪くなるため疲労物質も体にとどまったまま流れにくくなります。
結果として腰痛は悪化してしまうのです。ストレスや緊張状態の持続が悪化の原因となります。
慢性疲労症候群の症状
疲労状態が続くと、簡単には体から疲労が抜けなくなり、時に慢性疲労症候群という病気になることも。
原因は適度な休息をとらず、疲労を蓄積させたことによる自律神経の乱れ。症状は抑うつ傾向、肩こり、腰痛、眼性疲労など。
症状のうちの一つにある腰痛。整形外科で治療をしても症状が軽快しにくいのが特徴です。ストレスが原因であるため、腰痛が長引くケースもあります。
まとめ
慢性腰痛の原因、日常生活の注意点などについてお伝えしました。
治療や自然経過によって改善傾向にある腰痛は、悪い姿勢や床にじかに座る生活などで悪化することもあるのです。少しの工夫で悪化を予防できる可能性もあるので、一つでも取り入れてみてください。
医療・健康ライター。看護師、介護支援専門員。整形外科などの医療機関や介護施設などで20年以上働いてきた経験を生かし、介護予防や健康に関する情報を発信。2021年10月には「看護師歴20年の私が伝える健康法 自分観察で疲れにくい体になる!」(Kindle本)を出版。ブログ:Nruse Writer’s Cafe。
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