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胃食道逆流症を予防する食事のポイントを管理栄養士が解説

胃食道逆流症

胸焼けや酸っぱいものが上がってくるなど、つらい症状が知られている胃食道逆流症。成人の1~2割の人がかかっていることが推測されており、身近な病気のひとつでもあります。

予防のためには、毎日の食事の工夫が大切です。今回は、胃食道逆流症を予防する食事のポイントを管理栄養士が解説します。

 

1.胃食道逆流症とは

胃食道逆流症は胃酸が食道に逆流する病気です。胸焼けや呑酸(酸っぱい液体が上がってくる)などの症状や、食道炎を引き起こすことがあります。

命に関わる病気ではありませんが、不快な症状に悩まされたり、食事を楽しめなかったり、夜にぐっすり眠れなかったりなど、日常生活に影響を与えることもあるため、適切な対処法を知ることが大切です。

病気について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

 
胃食道逆流症中高年に発症することが多いと言われていますが、欧米化した食文化が影響し若者でも発症するケースが多くなっています。シニア・若者世代ともに気を付けたい胃食道逆流症。いったいどのような症状なのか、原因から対策法をご紹介します。
胸焼けにご注意!胃食道逆流症の原因と対策、なりやすい人とは?
 

 

2. 胃食道逆流症を予防する食事のポイント

逆流性食道炎の予防には、食事をはじめとした生活習慣の見直しが大切です。食事のポイントを詳しく解説します。

脂質の摂りすぎに注意

胃食道逆流症の患者さんは増加傾向にあり、これは高脂肪食の生活習慣が関係しているといわれています。脂質の摂りすぎにより、胃酸の分泌増加や、胃酸の逆流防止の働きが妨げられ、逆流が起こりやすくなってしまいます

脂っこい肉類、揚げ物、生クリームたっぷりのお菓子などは、脂質の摂りすぎに繋がります。以下の食べ物をよくとる方は、なるべく避けるか、頻度や量を少なくするようにしましょう。

【脂質の摂りすぎに注意したい食べ物】

肉類 豚バラ肉、牛バラ肉、ひき肉、霜降り肉、鶏皮、ベーコン、ウインナー
乳類 バター、生クリーム、チーズ
菓子類 ポテトチップス、チョコレート、クッキー、ケーキ、菓子パン
調味料 マヨネーズ、ドレッシング
料理 天ぷら、フライ、唐揚げ、カレー、チャーハン、カップラーメン


お酒(アルコール)はほどほどに

お酒(アルコール)も脂質と同じように、胃酸の増加や胃酸を逆流しやすくする原因となります。飲酒量が多い方が禁酒すると、症状改善に役立つという報告もあります。禁酒が望ましいとされていますが、飲酒量が多い方は、まず適量を心がけることからはじめると良いでしょう。

お酒の適量とは、日本酒換算で1合程度とされています。ビールならジョッキ1杯(500ml)、チューハイ(7%)なら350mlが目安です。

ジュース、お酒など炭酸に注意

炭酸飲料はげっぷを引き起こしやすくするため、逆流の原因となります。炭酸ジュースだけでなく、ビールやハイボールなどの炭酸が含まれるお酒にも注意しましょう。

コーヒーは控えめに

コーヒーも症状を引き起こしやすいものとして知られています。とくにたくさん飲んでいる方はなるべく控え、症状があるときは飲まないようにすると良いでしょう。

食べすぎ、早食い

胃食道逆流症

食べすぎや早食いにより、胃酸の分泌が多くなり逆流しやすくなったり、胸焼けしたりする原因になります。いつも満腹まで食べてしまう方や、食事時間が10分未満の方などは要注意です。

20分以上かけよく噛んで食べることで、食べすぎ防止にも繋がります。一口の量を減らす、噛み応えのある食材を増やすなどの工夫で、ゆっくり食べることを心がけましょう。

食事は就寝3時間前まで

胃酸の逆流は食後2~3時間までに起こることが多く、食べてすぐ寝ると逆流しやすくなります。就寝3時間前までに食事を済ませるようにしましょう。
どうしても3時間前が難しいときは、なるべく消化にやさしいものを心がけるようにしてください。

肥満の方はダイエットも有効

肥満の方は、内臓脂肪により腹圧が上昇し、胃酸の逆流を起こしやすくなることが知られています。低脂肪食を心がけることで自然とカロリーも減らせますので、高脂肪食が多い方はまず低脂質から取り組んでみると良いでしょう。

 

3.脂質の少ない食べ物

胃食道逆流症の予防には、脂質の少ない食べ物を普段から取り入れることが大切です。消化にもやさしく、ダイエットにも有効です。以下のような食べ物を取り入れるようにしてみてください。

肉類 鶏むね肉(皮なし)、鶏ささみ、豚もも肉、豚ヒレ肉、牛もも肉、牛ヒレ肉
魚類 たら、かれい、鮭、たい、いか、えび、あさり
豆類 豆腐、納豆、おから
乳類 低脂肪牛乳、低脂肪ヨーグルト、脱脂粉乳(スキムミルク)


症状を気にせず日常生活を健やかに過ごすためにも、今回紹介したポイントについて、できるところから取り入れてみてください。

症状が長く続く場合やつらさを感じる場合は、我慢しすぎず早めに受診をし、適切な治療を受けましょう。

広田千尋筆者:広田千尋
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。





<参考>
日本消化器病学会ガイドライン 胃食道逆流症(GERD)ガイド
日本消化器病学会 患者さんと家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイドブック
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
厚生労働省 健康日本21 アルコール

 

 
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