炭水化物の摂取を制限し、たんぱく質や脂質、野菜をたっぷり摂取する糖質制限は、今やダイエットの定番として人気ですが、過度な糖質制限は健康リスクを引き起こす可能性があります。
本記事では、糖質を制限しながら健康的に無理なく痩せために、体に優しい「緩やかな糖質制限」をおすすめします!
糖質の高い食材や低い食材の一覧、安全に続けるためのアイデア、管理栄養士による糖質オフメニューもご紹介します。
1.糖質制限ダイエットとは?
糖質制限ダイエット(低炭水化物ダイエット)は、ご飯・パン・麺・イモ類などの炭水化物、甘い物などの糖質量を1日70〜130gほどに抑え、その代わりに、肉・魚・豆腐・チーズ類など、たんぱく質と脂質が主成分の食品や野菜をしっかり食べるダイエット法です。
日本人の1日あたりの炭水化物の目標摂取量は250g~325gと言われているので、糖質量を70gに抑えるのはかなり厳しい糖質制限、130g以下に抑えるのは緩やかな糖質制限といえます。
主食1食に含まれる糖質量の目安は、白米のごはん1杯が約50g、食パン6枚切り1枚約26g、うどん1玉約50g、パスタは高めで1束約70gです。
糖質を減らすとなぜ痩せるの?
人は太古の昔、糖質を摂取できる機会が少なかったため、摂取した糖を効率よく吸収して、脂肪として蓄積するシステム(インスリン分泌)が体には備えられています。
ところが飽食の現代人は明らかに糖質を過剰に摂取している状態。そのため、エネルギーとして使い切れなかった糖質が中性脂肪になって蓄えられ、それが肥満につながるわけです。
インスリンの過剰分泌が肥満をひきおこすため、糖質をたくさんとらなければインスリンも大量分泌しない、よって太らないというわけです。
2.糖質制限を行う際の注意点と長続きさせるコツ
糖質制限ダイエットは、肥満気味、運動不足や暴飲暴食が多い人にはおすすめですが、妊婦さん、お子さん、高齢者、また、高タンパク食が腎臓に負担となるため、腎臓が悪い方にはおすすめできません。
特に60歳以上の方が糖質制限をすると、危険性もあるので注意が必要です。シニアの糖質制限については、こちらの記事をご覧ください。
■シニアの糖質制限は危険?メリット・デメリットを知り正しく取り組もう
また、ダイエットのやり過ぎは、かえって深刻な病気を招くこともあります。体内の糖質が減ってしまうと、体は筋肉を分解してアミノ酸に変えていくので筋肉量がどんどん減ってしまいます。
早く痩せたいからといって、ご飯を含む炭水化物を一切食べなかったり、痩せて嬉しくなって、さらに糖質制限を過剰に行うのは避けるべきです。
「厳しい糖質制限食を30年、40年と続けると、全身や脳の老化が進行する」と警鐘を鳴らす医師の意見もあります。
糖質制限ダイエットを長続きさせるコツは無理をし過ぎないことです。まずは、どの食品に糖質が多く含まれているのか、いないのかを頭の中で大まかに理解しましょう。
そして、日々の生活の中でご自分が実行できそうなルールを作って糖質の摂取量をコントロールすれば、ストレスを強く感じることなくダイエットを続けることができます。
健康的に痩せるには、規則正しい生活とバランスの取れた食生活、適度な運動が大切。脂肪燃焼効果のあるウォーキングも気軽にできておすすめです。
3.食べるべき食材、控えるべき食材は?
糖質制限ダイエットで食べるべき食材は、糖質の入っていないもの、または少ないもの。体を動かすエネルギー源となる「タンパク質」、「脂質」、そして、体を作る「ビタミン」、「ミネラル」などの必須栄養素、「食物繊維」などを多く含む食品です。
減らすべきものは、ご飯や麺類、パンなどの小麦粉製品、そして、甘いお菓子や飲み物など。
山芋、かぼちゃ、バナナ、プルーンなどの野菜や果物も糖質が高いですが、栄養面を考えると全く避ける必要はありません。ただし食べ過ぎには注意しましょう。
糖質が多い食品、少ない食品一覧
どのような食材に糖質が多いのか、少ないのかを正しく知っておきましょう。糖質の多い食品・少ない食品は以下を参考にしてください。
糖質が多いので減らしたい食品
主食 | ご飯、パン、ラーメン、パスタ、うどん、そば、そうめん、シリアル、春雨、お好み焼き・たこ焼きなどの粉物 |
---|---|
野菜・果物 | ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、山芋、かぼちゃ、とうもろこし、レンコン、バナナ、アメリカンチェリー、マンゴー、ブドウ、ドライフルーツ(レーズン、干し柿、プルーン、ドライマンゴーなど)、果物缶詰(もも、パイナップル、ミカンなど) |
調味料 | 砂糖、蜂蜜、片栗粉、小麦粉、みりん、ソース、トマトケチャップ、チリソース、コンソメスープの素 |
飲み物 | ぶどうジュース、リンゴジュース、コーラやソーダなど炭酸飲料、清涼飲料水、ミルクココア、ピーチネクター |
お菓子 | スナック菓子(ポテトチップス、せんべいなど)、和菓子(あんこ、大福、団子など)、洋菓子(クッキー、ケーキ、パンケーキ)、ジャム、飴、グミ |
糖質を気にした方がよい食品
肉、魚 | 加工肉(ソーセージ・ハム・ウインナー)、加工食品(かまぼこ、ちくわなど練り製品) |
---|---|
野菜、果物 | りんご、イチゴ、みかん、オレンジ、もも、メロンなどフルーツ全般、ソラマメ、グリーンピース、ゴボウ、玉ねぎ、ニンジン、赤ピーマン |
糖質の少ない食品
肉・魚 | 肉類(豚肉、牛肉、鶏肉、羊肉、馬肉)、魚介類(さんま、あじ、まぐろ、ぶり、いわし)、卵、肉類、魚類全般 |
---|---|
野菜・果物 | 葉物野菜(ほうれん草、小松菜、キャベツ、青梗菜、セリ、三つ葉、レタス、水菜、白菜、にら)、もやし、ブロッコリー、カリフラワー、アスパラ、カブ、ゴーヤ、貝割れ大根、ズッキーニ、白菜、ミョウガ、紫蘇などの野菜、果物(アボカド、ラズベリー、ゆず、パパイヤ、レモン) |
調味料 | 出汁・油(サラダ油、オリーブオイル、ごま油、ラー油)、塩、酢、マヨネーズ、豆板醤、醤油など |
飲み物 | 水、お茶(緑茶、ウーロン茶、麦茶、紅茶、ほうじ茶)、コーヒー |
その他 | 海藻類(ワカメ、海苔)、キノコ類、大豆や大豆製品(豆腐・湯葉)、乳製品(チーズ・バター・砂糖を加えていない生クリーム) |
お酒の糖質量
糖質が多い | ビール 10.9g(1缶)、発泡酒 12.7g(1缶)、梅酒 6.2g(グラス1杯) 日本酒 8.1g(1合)、紹興酒 2.6g(グラス1杯) |
---|---|
糖質を含む | 赤ワイン1.5g(グラス1杯)、白ワイン2.0g |
糖質ゼロ | ジン、焼酎、ウイスキー、ウォッカ、テキーラ、ラム |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編」
4.無理なく糖質制限を続けるためのアイデア
ちなみに筆者も5年前から緩やかな糖質制限を実践していて、効果があると実感しています。
白米が大好きなので1日3回食べたいのを我慢して、朝か昼に茶碗に軽く1膳。ご飯を抜いた分、鶏肉や魚のたんぱく質と野菜をたっぷりいただきます。
これだけでも1ヶ月でお腹周りがすっきり、3ヵ月間ほどで体重が4キロ落ち50キロになりました。その後は無理のないカロリー制限に切り替え、体重をキープしています。
主食にオートミールや雑穀の利用
白米の糖質量は100g当たり77.1gに対しオートミールは59.7g。食物繊維が豊富で糖質が控えめのオートミールを取り入れるのもおすすめです。
また、白米より糖質が少なく食物繊維が多い、もち麦や玄米、あわ、きび、麦などの雑穀などを、お好みにあわせてご飯に混ぜて炊くのもよいでしょう。
糖質の多いお菓子をナッツや果物に置き換えるのも効果的。
管理栄養士による糖質控えめ、栄養たっぷりのオリジナルレシピはこちらからどうぞ!
お酒は糖質ゼロをチョイス
ビールや日本酒、紹興酒などの醸造酒は高糖質で、飲むと血糖値が上がりやすくなってしまいます。反対に、ウイスキー、焼酎、ウォッカなどの蒸留酒は糖質ゼロです。
焼酎をお茶や炭酸で割った酎ハイやハイボールがおすすめ。生のレモンかグレープフルーツを絞ったサワーは、ビタミンCや食物繊維も豊富で美容効果もアップします。
緩やかな糖質制限“ロカボ”で安全で健康的なダイエットを目指しましょう!
今回、参考のため「糖質制限」に詳しい中国薬膳料理のオーナーにもお話を伺いました。「歓」では、薬膳料理や糖質制限メニューも提供。女性に人気の糖質オフランチは、ご飯を糖質の低い大豆パンに置き換え料理もデザートも砂糖を使わないオリジナル。オーナーの梅橋氏は、糖尿病と診断され自身も糖質制限を実践し、20日間で8kgの減量に成功。糖質制限の知識を生かし日本初の糖質制限専門店を出した経験もある。「歓」店舗情報
学生時代より情報誌や雑誌で旅ライターを始め国内・海外取材歴8年。結婚と出産で休業の後、オーガニック食品の会報誌の編集を経てWEBに転身。介護、健康、不動産、海外文化の執筆とサイト運営を16年。その間、自身も親の介護を経験しながら現在に至る。
参照:厚生労働省「炭水化物」
文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編
関連記事
ダイエット
■地味だけど効果バツグン!簡単レコーディングダイエット
■お腹を「へこます」「出す」だけの話題の凹凸ダイエット効果と方法
■善玉菌を増やして腸内フローラを整えよう!美容・健康・ダイエット効果も
■むくみ解消!NGな食べ方・コンビニで手に入る効果的な食べ物を管理栄養士が解説
健康
■食後の眠気は血糖値スパイクかも!?予防するための食べ方・食事の過ごし方とは
■血糖値を抑える食事法│知っておきたい4つのポイントとは
■糖尿病の種類・原因・症状は?生活習慣を見直して予防しよう!
■トマトの栄養と効能は?健康&美容にぴったりの理由を管理栄養士が解説
■お酒は体に良いの?悪いの?アルコールとの上手な付き合い方
■シニアのためのウォーキング術|無理なく楽しく歩いて健康に!