毎年つらい花粉症の症状。食事や食べ物で対策できないかと考える方も多いでしょう。ヨーグルトやお茶などがよいと聞くことがありますが、実際に効果はあるのでしょうか?
今回は花粉症対策の食事や取り入れたい食べ物について、管理栄養士が解説します。
1.花粉症対策の食事とは
花粉症対策のひとつとして、腸内環境を整えられるような食事を心がけるとよいでしょう。
食べ物だけで花粉症を根本から改善したり、症状を完全に防いだりするのは難しいのですが、アレルギーの出にくい体質を作るために、腸内環境を整えることが大切であると考えられるようになってきています。
そもそも花粉症とは、アレルギーのひとつです。本来は有害でない花粉に対し、免疫機能が過剰に反応してしまうことで、くしゃみや鼻水、かゆみなどの症状を引き起こします。
免疫システムが誤作動を起こしている状態なので、この免疫システムを正常に働くようにすることが対策になります。
腸は免疫機能の7割が集まっているとされており、体内に入ってきた有害な細菌やウイルスを退治してくれる場所です。腸の免疫機能をコントロールするのが腸内細菌であり、腸内環境を整えることで、アレルギーを抑えられると考えられてきています。
なお、花粉症の基礎知識についてはこちらの記事で詳しく解説しています。食事以外の予防策についても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
花粉症の予防法と治療薬(抗ヒスタミン薬、漢方薬、点鼻薬)の作用や注意点、花粉症の根本治療である「舌下免疫療法」についても、薬に詳しい薬剤師ライターが解説いたします。
■【薬剤師が教える】花粉症の予防と治療薬について|舌下免疫療法とは?
2.花粉症対策としてとりたい食べ物4つ
花粉症対策として取り入れたい食べ物は、腸内環境を整えるのに役立つものや、症状軽減が知られているものなど、さまざまなものがあります。ここでは4つご紹介します。
ヨーグルト
乳酸菌を含むヨーグルトは、毎日取り入れたい食べ物です。乳酸菌は腸内で善玉菌として働くため、悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整えてくれます。
乳酸菌は腸内に住みつくことができないため、毎日続けて取り入れることが大切です。
ヨーグルトを取り入れるタイミングは、花粉シーズンに入る前からがおすすめです。早めに取り入れることで、免疫システムが正常に働くような土台作りを助けてくれます。
シーズン前に慌てて取り入れるよりも、できれば1年を通して毎日取り入れるようにする方が、万全の態勢で花粉シーズンに臨めるでしょう。
食物繊維を含む食べ物
食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなるため、善玉菌を増やしてくれる役割があります。
また便の材料となり排便を促してくれるため、便秘を防ぎ、腸内環境の悪化も防ぎます。毎食、野菜やきのこなどをたっぷりと取り入れることが理想です。
さらに食物繊維を強化したい場合や、食事だけではなかなかとりきれない場合は、主食をオートミールや小麦ふすま(ブラン)、玄米などの食物繊維が豊富なものに変えるのもよいでしょう。
食物繊維を含む食べ物
オートミール・小麦ふすま(ブラン)・玄米・オクラ・ごぼう・きのこ・海藻類・バナナ
・大豆など
オリゴ糖
オリゴ糖も食物繊維と同様に、腸内で善玉菌のエサとなります。ヨーグルトとあわせて摂るようにすると、善玉菌を増やすのに役立ってくれるでしょう。
手軽にオリゴ糖を取り入れるなら、市販のオリゴ糖シロップを利用する方法もあります。無糖のヨーグルトと合わせると、ヨーグルトの甘みづけにもなりますよ。
オリゴ糖を含む食べ物
バナナ・オリゴ糖シロップ・たまねぎ・ごぼう・たけのこ・ねぎ・アスパラガス・大豆など
緑茶
緑茶に含まれるカテキンの中でも「メチル化カテキン」に抗アレルギー作用があることがわかっています。
メチル化カテキンは、一般的な緑茶の茶葉にはあまり含まれず「べにふうき」「べにふじ」「べにほまれ」などの茶葉に多く含まれる成分です。
一般的な緑茶を飲用した場合に比べ、メチル化カテキンを含む緑茶を飲用した場合に、スギ花粉患者で花や眼の症状が改善したという報告もあります。
ひとつ注意したいのは、緑茶をたくさん飲むとカフェインの過剰摂取の心配がある点です。カフェインは緑茶以外にもコーヒーや紅茶、エナジードリンクなどにも含まれるため、飲みすぎには注意しましょう。
3.控えたい食習慣
花粉症対策には、先ほど紹介した食べ物を取り入れる他にも、食習慣の見直しも大切です。花粉症の原因として、食生活の変化も関係していると考えられています。
例えば下記の食習慣は腸内環境を乱したり、花粉症の症状を悪化させたりする恐れがあります。
・脂質やタンパク質の摂りすぎ
・お酒の飲みすぎ
悪玉菌は脂質やタンパク質をエサにして増えることが知られています。腸内環境の乱れにつながるため、肉を中心とした食生活の方は、魚や大豆製品を取り入れるように心がけましょう。
またお酒の飲みすぎも腸内環境に影響を与えると考えられています。さらに、アルコールによる血管拡張作用により粘膜が刺激され、症状が強くなる恐れもあります。特に花粉シーズンは、なるべくお酒を避けた方がよいでしょう。
4.生活習慣の改善も大切
免疫機能を正常に保つためには、規則正しい生活習慣も大切です。睡眠、休養をよく取り、早寝早起きを心がけるようにしましょう。
また適度な運動も大切であるため、花粉症の症状が気にならない時期は意識して取り組むようにしましょう。
この記事では、花粉症対策の食事について解説しました。
花粉症対策は、花粉シーズン以外にも取り組むことが大切です。また症状が重い場合には、耳鼻咽喉科や眼科などの受診をすすめられる場合もあります。
薬物療法や免疫療法などで治療を行う方法など、治療法はさまざまです。適切な対策を行い、必要に応じて治療も検討し、つらい花粉シーズンを乗り切りましょう。
参考:環境省「花粉症環境保健 マニュアル 2022」
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構「べにふうき緑茶の研究情報」
管理栄養士。保健センターや病院に勤務し、生活習慣病予防や低栄養予防など、中高年から高齢者の栄養サポートに従事する。現在はフリーランスとして独立し、食や栄養に関するコラム執筆や、身近にある材料でおいしく健康になれるレシピ作成などの活動を行っている。
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